Reviews
ショパン:エチュード全集
(季刊・オーディオアクセサリー 2021spring 180号)
14人の評論家が選ぶ
優秀版オーディオグレードin spring 2021 より
上野真のショパンは大型ピアノ、ファツィオーリF308を用いた録音。19世紀中期、ショパンが実際に演奏していたプレイエルなどのピリオド楽器に似た味わいを意識した選定とのことで、鋭さを抑えつつも明るく華やかなアタックと階調性の細やかなボディの響きをじっくりと堪能できる。ホールの余韻も素直で技巧的な演奏の本質を隠すことがない。
(岩井喬)
上野真が弾く、この「ショパン・エチュード全集」は貴重だ。「別れの曲」「革命」「木枯らし」がお馴染みで、それを大型で領域が広く、倍音豊かなファツィオリピアノF308で聴ける。ショパンの芸術性と優しさ、情熱が熱く伝わった。
(林正儀)
今までも現代のピアノと、その作曲家と同時代のピリオド楽器などを意識的に使いわけてきた上野真の最新作は、ファツィオリF308を使ってのショパンだ。その考え方については、本人による6千字近いライナーノーツを是非読んで欲しい。結果として実に説得力の高い美しい演奏であり、その良さを的確に捉えた録音と思う。インティメイトな面とホールでの多くの聴衆向きの曲の両方があるというこの曲集を見事に弾きわけている。
(鈴木裕)