Writings
ムジカ ザ スポットライト
話題の人から、『ムジカノーヴァ』読者へ宛てたメッセージ
(ムジカノーヴァ2010年10月号より)
ヘンレ版によるソナチネ・アルバム第2巻古典 ピアノ: 上野真
2CD TRITON EXCL-0050
◆ヘンレ版ソナチネ・アルバムで時代様式を学ぶことができます
今回のCDの特徴は、ドイツのヘンレ社の原典版を土台にしつつ、私なりに独自の考え方、試みを行っていることです。この楽譜は1980年代に出版されたにもかかわらず、未だに幅広く使われるに至っておらず、私が知る限りにおいてはこれまで音源が存在しませんでした。またこの楽譜は各巻にバロック、古典派、ロマン派のいろいろな様式のソナチネ・ソナタが収録されていて、ピアノ学習者が早い時期から古典的な様式(いわゆるウィーン古典派)のみならず、バロックの小規模なニ部形式のソナタ、組曲の構成を持つソナタ等に親しめること、他方、規模の大きなロマン派のソナチネ・ソナタに触れるきっかけともなること、楽譜そのものに信頼性があること、等の点で価値があると感じました。録音は第2巻『Klassik-古典派』から始めました。この楽譜は「原典版」ですから、様々な角度からの「読み方」が必要になってきます(恐らくこの点が、この優れた曲集を学習者から遠ざける要因になってしまったのかもしれません)。このことについてはライナーノーツにかなり詳しい説明を載せましたので、読んでいただけましたら幸いです。
◆レッスンや発表会で弾いて印象に残っている曲
モーツアルトやショパンを初めて弾かせてもらった時のことが一番です。5歳でしたが、《きらきら星変奏曲》、6歳の時に嬰ハ短調の《ワルツ》、7歳の時に《幻想即興曲》を弾きました(子どもなりに…)。ワルツに決まるまでにウェーバーの《舞踏への勧誘》も弾きましたが、なかなかまとまらず、直前にワルツに変更になった記憶があります。